
午前中、オレはデスクで見積りや請求書、その他の書類をやっていると、瞬く間にお昼になった。
オレは響子の作った弁当を持って、食堂へいった。いつものように、会社支給のお茶を片手に隅っこのテーブルに一人で座り弁当を開いた。
響子の弁当は、ゴハンとオカズ、それぞれ入れ物が二つに分かれていた。オカズの容器を開けたときは普通に、タマゴとかハンバーグ、エビフライ、それにブロッコリーなどの野菜があった。
びっくりしたのは、ゴハンの方だった。蓋を開けると白いゴハンの上に、焼き海苔を細長く切ったやつで“ガンバレー”との文字がオレの目に飛び込んできたのだった。
これには、さすがにオレも驚いた。
「ほお〜、お前が弁当なんて珍しいな。ガンバレ弁当かよ」
いつもオレを怒鳴ってばかりいる課長だった。後輩のくせに、オレをコケにした態度しか取らない奴らも一緒だった。
「お前、お袋さん、もう居なかったんじゃなかったっけな。お前に、女なんて出来るわけないし。どうしたんだ、それ?」
「・・父が再婚しまして、その母が・・」
「でも、先輩、あんまり頑張らないほうがいいですよ。また、ドジるから」
と、一人の後輩が言うと、それを機に課長を始め皆がいっせいに笑った。
むこうのテーブルには女たちが、何事かとこっちに顔を向けていた。そして、オレを見つけるといかにも軽蔑したような顔をして、すぐにそっぽを向いてしまった。
「ハハハ、二度目のお袋さんの手作りか。こんど俺にも、その“ガンバレ〜”って弁当、作ってくれるように頼んでくれないかな。どうだ? ハハハ」
「先輩、俺にも、頼みますよ。ハハハ」
「いいですねぇ・・。そんで、皆で、バカになるんですか。俺、辞めとく」
「ハハハ、バカはないだろうよ。いくらなんだってさぁ。なあ、おい」
と言って、課長がオレの肩を叩いた。皆がまたいっせいに笑った。
「いいなぁ、お前、いいお袋さん持って。ついでにオッパイでもしゃぶらせてもらったらどうだ」
「ハハハ、甘えられていいなぁ」
「甘えついでに、いろんなこと教えてもらったらいいじゃないですか、先輩」
「いろんな事って、なんだい?」
と、課長が今言った後輩の男に聞いた。
「そりゃ、いろいろですよ。だって、二度目のお袋さんなら他人じゃないですか。一緒に住んでるんだから、お風呂ぐらい覗いたっていいじゃないですか」
「それもそうだな。もしかして少しぐらい触らせてくれるかもな」
「大事なとこ、触ってたりして」
「ハハハ、そりゃいいや。おい、今度のお袋さん、歳はいくつだ? まだ若いのか?」
「はい」
と、オレは仕方なく言った。
「美人か?」
「それなりです」
「今度、紹介してくださいよ」
と、後輩の男が言った。
「仕事のことは関係ないだろ」
と、オレはその後輩を睨みつけた。
「そうだよ、度紹介しろよ。どんなお袋さんか拝見したいもんだ。色っぽい女だったらオお近づきになりたいもんだ」
オレが座ったテーブルを囲むようにして、課長をはじめ、それぞれが勝手なことを言っていた。オレは黙っていた。
「ふん、“ガンバレー”かい。なるほどねェ〜〜」
と、最後に課長が言い残して、皆そろって他のテーブルに行ってしまった。
つづく
























